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1年で大きな変化を示す小中高校生のインターネット機器利用状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供達のインターネットアクセスはパソコンからスマートフォンへ。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・2016年から2017年における小~高校生のデジタル機器利用状況の変移としてはスマートフォンやタブレット型端末の利用率が増加。

・パソコンやゲーム機は利用率が減少。

・タブレット型端末は特に小学生で大きく利用率が伸びている。ノートパソコンは高校生の利用率減少度合いが大きい。

スマートフォンとタブレット型端末が伸びる

大人が想像している以上に子供達の間にはスマートフォンへのシフトをはじめ、インターネット機器の利用形態の変化が起きている。内閣府の継続調査「平成29年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果」(※)などの結果をもとに、その実情を確認していく。

次に示すのは小~高校生全体における、デジタル機器の利用状況に関する、2016年から2017年の変移。両年で同一対象を調査したわけでは無いが、この1年で各機器の利用率がどのような変化を遂げたのかが分かる結果が出ている。なおpptとは%ポイントのこと。

↑ デジタル機器利用状況(2016年から2017年への変移、ppt、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)
↑ デジタル機器利用状況(2016年から2017年への変移、ppt、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)
↑ (参考)デジタル機器利用状況(2017年、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)
↑ (参考)デジタル機器利用状況(2017年、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)

スマートフォンは通常型が大きく伸び、格安スマホや子供向けスマホも少しだが増加の動き。他方、従来型携帯電話は下げたが、子供向けのが伸びる。パソコンも大きく下げているが、元々普及率が低かったデスクトップパソコンよりもノートパソコンの方が下げ幅は大きい。タブレット型端末は通常型が大きく伸びているが、学習用や娯楽用の普及率は微少な動きに留まっている。特化型よりも汎用型の方が好まれているようだ。

ゲーム機などインターネットの利用が一義的なものでは無いデジタル機器では、インターネットテレビ以外は下げている。携帯音楽プレイヤーの減少もスマートフォンへのシフトが想定される。

学校種類別に動きを見ると

今件を学校種類別に仕切り直した上で確認したのが次のグラフ。

↑ デジタル機器利用状況(2016年から2017年への変移、ppt、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)(主要機種・学校種類別)
↑ デジタル機器利用状況(2016年から2017年への変移、ppt、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)(主要機種・学校種類別)
↑ (参考)デジタル機器利用状況(2017年、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)(主要機種・学校種類別)
↑ (参考)デジタル機器利用状況(2017年、小~高校生)(複数回答)(インターネット利用の有無を問わず)(主要機種・学校種類別)

スマートフォンは特に中学生の間で普及が加速している。従来型携帯電話の減少ぶりも中学生が大きいので、機種転換が進んでいるのだろう。「若者のパソコン離れ」的な動向は、高校生で特に大きな動きが見られるが、小中学生もそれなりに進んでいる。元々パソコンは両タイプとも上の学校種類ほど高い利用率を示しており、高校生の下げ幅が大きいのは納得ができる。

タブレット型端末は小中高ともに大きく飛躍しているが、特に小学生の利用状況の伸びが著しい。前年比で7.4%ポイントもの上昇を示している。他方携帯音楽プレイヤーは中学生が大きな減少ぶり。スマートフォンがあるので不必要との認識だろう。

ゲーム機では据置型の利用率が大きく減少、しかし携帯ゲーム機の減少度合いは小さめ。ここ数年は「据え置き型から携帯型へ」の動きが見られているが、ゲーム機全体の利用率が減少する中で、据置型ゲーム機がより一層距離を置かれているようだ。

今件は1年間における変化を算出したものだが、わずか1年でここまで大きな変化が生じていることから、子供達の間でデジタル機器の利用状況が大きな動きの中にあることが理解できる。ほんの数年前までは思いもつかなかったような状況に違いない。スマートフォンの利用率の伸張、タブレット型端末の確かな普及、ゲーム機やパソコン離れ的な動きは、今後も続くだろう。

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※平成29年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果

2017年11月3日から12月3日にかけて2017年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3288人(うちウェブ経由は122人)、保護者は3469人(うちウェブ経由は44人、郵送回収法は26人)。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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